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追悼

昨日、5月31日の日曜日、自らの属する福音ルーテル教会でアッシャーを務めていたジョージ・ティラー医師が射殺されました。

日本でもニュースになっていると思いますが、というかニュースになっていて欲しいのですが、アメリカのメディアでもこの方のバックグラウンドが詳しく放送されていたわけではないので、主にWikiから一部ここに抜粋させて頂きました。

以下、追悼の意を込めて。


ジョージ・リチャード・ティラー医師(1941年8月8日-2009年5月31日)は、カンザス州ウィチタの、アメリカで3つしかない、妊娠21週目を過ぎても中絶を行う「女性のヘルスケア・サービス」というクリニックのディレクターでした。

ティラー医師はずっと中絶反対の過激派のターゲットで、彼らは毎日彼のクリニックの外で祈祷を捧げていたそうです。彼は1993年8月19日には、シェリー・シャノンによってクリニックの外で両腕を撃たれています。そして2009年5月31日、ティラー医師はウィチタの教会の日曜礼拝でアッシャーを務めていた時に、51歳の過激派の男に射殺されたのです。

ティラー医師は1963年から1967年までカンザス大学の医学部で学び、その後、アメリカ海軍でインターンとして働き、1969年から1970年までカリフォルニア州オークランドで空軍の軍医を務めました。1970年の7月には皮膚科での実習を始める予定だったティラー医師ですが、その年の8月21日に、彼の両親と姉と義兄が飛行機事故でなくなり、その姉の遺書によって、1歳だった甥の面倒をみることになります。その後はウィチタに戻って父の家庭診療所を閉め、皮膚科医になるつもりでいたけれど、父の診療所を続けるようにというプレッシャーを感じたそうです。

彼の父は診療所で中絶を行っていたのでした。

違法な中絶のために死亡した女性のことを聞いて、ティラー医師はウィチタに残って彼の父の診療所を続けることを決めます。

そのキャリアを通じ、ティラー医師は中絶反対派の絶え間ない攻撃の対象にされていました。1993年8月19日、彼はシェリー・シャノンという中絶反対派によって両腕を撃たれています。彼を攻撃した当時、シャノンは中絶反対の過激派として5年間活動していて、ディビッド・ガン医師(フロリダのクリニックで中絶を行っていた方)の殺人者であるマイケル・グリフィンを支持する手紙を書き、グリフィンを「我々の時代の最高に素晴らしいヒーロー」と呼んでいました。彼女は中絶支持派、反対派のデモが行われていたウィチタのクリニックに出向き、セミオートマティックの銃でティラー医師を撃ったのです。

州の裁判で彼女は、ティラー医師を殺そうとしたことに何の罪もないと証言し、陪審員はわずか一時間でシャノンを殺人未遂で有罪としました。彼女には11年の禁固刑が宣告され、次の年には、中絶を行うクリニックへの放火や、ビジネスの強制的な妨害、クリニックへの攻撃を目的として州を越えて移動したことで、更に20年の禁固形を宣告されています。

昨日ティラー医師を暗殺した男は、1996年に爆薬を車に積んでいたため一度は有罪になっていますが、上訴後、警察の車の捜査方法が違法であったとして釈放になっています。彼の離婚した奥さんが、爆薬は中絶を行うクリニックを爆破するためのものだった、と証言していたのに…。


度重なる襲撃にも暗殺の試みにも負けず、助けを必要とする女性のために命を捧げられたティラー医師。

中絶反対派は自分達をプロ・ライフ(Pro-Life)と呼びます。

彼らの教えが人を殺すのに、それでも命を尊んでいると?

生きている女性を助けるため、どんな脅しにも屈しなかった人を、彼らは「人殺し」と呼んだ。

真のクリスチャンとして生きた人の、尊い命を奪えと教えた。

彼らはゲイは死ねと教える。

人を憎めと教える。

どこまでやれば満足なのか?

どれだけの人が犠牲になれば目が覚めるのか?


この国のために、一人の勇気ある人の死を心から悼みます。

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タグ : ジョージ・ティラー中絶殺人

2009/06/01 22:10 | ニュース・その他COMMENT(8)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

恐ろしい事件ですね!

蛍さんの記事を読んだ最初の印象は、次の通りでした。

ええっ!?いつの時代の話よ!?この民主主義の世の中で、そんな不条理な殺人事件が起きちゃうわけ???

狂信的な人々からティラー医師を守るために、何ができたのか?
狂信的な人々が武器を所有できないように、個人の武装する権利を認める憲法修正第2条をなんとかできないのか?
アメリカは、一般市民が銃や爆弾などの武器を所有することを規制する法律を作れないのでしょうか?
何年かしたら失効してしまうような時限立法ではなく、恒久的な効力を持つ規制法案を成立させることは、難しいのでしょうか?(←全米ライフル協会の力は今でも強いのか!?)

せめて狂信的な人々の手に武器が渡らないようにすることでしか、こういった痛ましい事件を防げない気がします。話し合いには応じてくれなさそうだし…。
本当に悔しい現実です!

No:1305 2009/06/02 20:53 | トモ #- URL [ 編集 ]

これは日本でもニュースになりましたが、テレビや新聞ではなく、ニュースサイトでの配信のみだったのではないでしょうか。

聖書において、精子を大地に捨てる行為(つまり自家発電)さえ非難するのがキリスト教ですから、中絶なんてそれこそそれこそ噴飯ものなんでしょうが、この手の話題に際して私はいつも不思議に思うのですが、健康な女性なら毎月1度は卵子を体外に捨てているということを誰も問題にしないのはなぜなんでしょうか。
女は、妊娠してない限り、毎月自然に中絶しているようなものです。
無駄になるのは受精卵でないからいいということでしょうか?
精子の一滴さえとやかく言うことを考えれば、それもおかしな話ですよね。
胎児を殺すのが犯罪といいながら、その胎児はどこから来るのか、そんなことは考えもしないんでしょうか。

私のこういう疑問に答えてくれる人は、誰もいない。

ちなみに、日本は本来中絶禁止の国です。
妊婦さんの健康を保護する法律の一部を拡大解釈して行われているのが現実。
中絶というと若い女性が行うイメージが強いですが、実際は全体の7割近くが40代女性だそうです。
経済的理由が多いそうですが…。

人は生まれてきたこと自体に意味がある、と思う私は中絶反対派ですが、当然、処置する医師を殺していいという理屈にはなりません。
中絶する人にもそれなりに理由があるでしょうし、悩んで出す結論なんですから、それについてもとやかく言う気はありません。
ただ、「お願いですから産んでください、そのあとのことはこちらで引き受けますから」と言える社会であればいいのに、とは思います。

No:1307 2009/06/03 06:12 | くろみみ #- URL編集 ]

「自分達と異なる考えを持つヤツらに死の制裁を。」

どこぞの国のテロリストも危険極まりないですが、自国内にもテロリストが潜んでいる恐怖。
ティラー医師を殺害しても、世の中から中絶が無くなるワケでもなし・・・。

ティラー医師のご冥福をお祈りします。

No:1308 2009/06/03 16:55 | るぴ子。 #- URL [ 編集 ]

トモさん、こんばんは

>いつの時代の話よ!?
残念ながら、これが今のアメリカの現実なんです!><
ティラー医師のクリニックには過去に3年間、警察が特別にセキュリティをつけていたそうなんですけど、まさか教会でとは…。
全米ライフル協会の力は今も強いです。
というか、ちょうど一年くらい前に最高裁で憲法修正第2条を肯定する判決が出され、彼らの力が強まったと言ってもいいかも。
色んな州や市で行われている銃規制が、憲法に照らして違法だという訴えを起こしています。
だから最高裁の判事って大事なんですけど、今の主席判事は前B大統領に指名された人だから、かなり保守的なんです。
新しくオバマ大統領に指名された方が、こういった宗教テロや暴力を助長するような決定に、全て反対される方であることを願ってますけど…まだはっきり分からないんですよね;
起こってはいけない事件が起こってしまったことが、本当に悲しくて悔しいです!

No:1309 2009/06/03 20:39 | 蛍 #- URL [ 編集 ]

くろみみさん、こんばんは

>テレビや新聞ではなく、ニュースサイトでの配信のみ
うーん;
時々、こちらの大ニュースと、日本で放送されるアメリカのニュースに差がありますね。
どういう人がどういう基準でニュースを選んでいるのか気になる…。
アメリカでは間違いなく新聞、ラジオ、TVのトップニュースでした。
オバマ大統領に指名された最高裁の判事についても、彼女の立場はどうなのか?ってますます注目されてます。

おっしゃる通り、聖書を文字通り解釈するのは危険ですよね。
バイブル・スタディとか、牧師になるための学校とかあるんですけど、そういう時にまずはそこから教えて欲しいものですが…多分逆なんでしょうね;

>日本は本来中絶禁止
そうなんですか?!
逆のイメージでした。
>妊婦さんの健康を保護する法律の一部を拡大解釈して行われている
なるほど…。

女の人が安心して妊娠、出産できる環境があるとは限らないから、法律は「女性の選ぶ権利」を尊重するしかないんですよね。
こういう理由ならOK、そういう理由ならNOって、その女性以外の誰かが決めることは出来ない。
法律は、安全な医療が行われるように、女性を守ることを優先すべきで、くろみみさんのおっしゃる通り、個人的な好悪を法律に持ち込むべきじゃないし、ましてや暴力による制裁なんて問題外です!><

No:1311 2009/06/03 20:40 | 蛍 #- URL [ 編集 ]

るぴ子さん、こんばんは

おっしゃる通り、こういう宗教テロリストは本当に怖ろしいです。
医学部によっては中絶の仕方を教えない学校もあって、こういう方がこんな形で亡くなるということは、女性が危険な手術で酷い目に遭う可能性がそれだけ増えるということだと思います。

こんな事件が起こってしまったことが本当に悲しい。

No:1312 2009/06/03 20:41 | 蛍 #- URL [ 編集 ]

日本にある堕胎罪!?

蛍さん同様、くろみみさんのコメントを見るまで、日本が中絶禁止の国だとは知りませんでした。
刑法第29条の中で、堕胎(中絶)は犯罪と規定されてました(←どひゃ~)

でも、1979年に国連で「女子差別撤廃条約」が採択されてます!そこで保障されていることは、「生殖に関する女性の自己決定権」です。
日本は国連の「女子差別撤廃条約」を1985年に批准していて、効力が発生してます!だったら、この「女性の自己決定権」に基づいて、刑法第29条から「堕胎罪」を削除してしまえばいーのに、と大胆にも(←?)思ってしまいましたよ。(中絶反対の方には、申し訳ないです…)

アメリカは「女子差別撤廃条約」を批准しているのでしょうか?
そもそも国連の条約って、各国が批准しても、さほど効力を持たない「お飾りの」条約なんですかねぇ~。トホホ…。

No:1346 2009/06/13 22:01 | トモ #- URL [ 編集 ]

トモさん、こんばんは

国連の採択についても初めて知りました!
先進国で唯一この条約を批准していないのは?
アメリカ…Σ( ̄ロ ̄lll) 
「女性の選ぶ権利」に関する条項が余りにも「進歩的」過ぎるという批判が
カトリック教会関係の団体やイスラム国家から出ているらしいですけど
アメリカも似たようなレベルということですね(涙)
国内テロや宗教団体の圧力でこういう条約を批准できないとしたら問題!
ただオバマ大統領は既にこの条約を批准するというコメントを出しておられるそうですv
Bがサインしなかったゲイライツに関する声明にもサインするとおっしゃっていたし
こういうところからサッサとチェンジして欲しいものですっ!!

日本からはフミコ・サイガさんとおっしゃる方が委員会のメンバーとして活躍されているみたいで心強いですねv
教えて頂いてありがとうございました!

No:1348 2009/06/14 16:14 | 蛍 #- URL [ 編集 ]

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