これまで何度も引き伸ばしにしてきた同性婚の審理について、米連邦最高裁(SCOTUS)がついに12月7日、DOMAとProp 8両方のケースについて審理を行うと発表しました。
実際に審理が始まるのは来年の3月ということですが、DOMA(Defense of Marriage Act)の審理が先に行われると思われていたのに、Prop 8の審理も同時に行われるということで、これが何を意味するのか?について、ゲイブログ様だけでなく、各ニュースメディアでも様々な憶測がなされています。
まずはDOMAについて。
結婚擁護法案という、いかにも保守派の考えそうな名前のこの法案については、4つのケースが各地区の連邦裁判所を勝ち抜いて最高裁での最終判決を待っていました。
今回審理されることが決まったのは、Windsor v. United States(ウィンザー対アメリカ合衆国)。(詳細はこちらの記事で)

83歳の未亡人ウィンザーさん(↑右)が、同性婚が認められている州のカップルに対して連邦政府がその婚姻を認めないことを定めた、DOMA第3条を違憲とする訴えを起こしています。
彼女は44年間連れ添ったパートナーのセアさん(↑左)と2007年にカナダで結婚し、NY州も二人の結婚を認めていましたが、セアさんが亡くなった時、DOMAによって3千万円を超える相続税を国に支払うよう要求されました(一定額までの夫婦間の相続税は本来なら免除)。
彼女はこれを違憲とする訴訟を起こし、NYの連邦裁判所は彼女の主張を認めています。
DOMAはこのように、州法に基づいて結婚しているカップルを連邦政府(や他州)が認めることを禁じ、同性カップルに異性の夫婦と同等の権利を与えないことを定めた法案。
このDOMAについては、既に結婚が認められているカップルへの差別であることが明らかな上、家族法(Family Law)については基本的に州の自治を重んじる合衆国の伝統にも反し、更には法の適応範囲が狭い(同性婚が認められている州が少ない)ということもあって、最高裁でも割とすんなり違憲判決が出るのではないか、というのが大方の予想です。
DOMAが引っくり返ると、同性婚が認められる州で結婚したカップルさんには移民法も適用されることになりますので、アメリカ人のパートナーさんがいて、アメリカへの移住を考えていらっしゃる方にとっては大変な朗報になりますね☆
私もDOMAに関しては来年中に違憲判決が出るのではないかと思っていますので、すていちゅーんど、です~♪
そのDOMAに対して、そもそも同性同士の結婚を合法とするのかどうかを争うのがProp 8裁判。
これに関しては皆様もよくご存知と思うので詳しくは書きませんが、カリフォルニア州の「結婚は男女間のみに成立する」と定められた州憲法の条文を違憲として起こされた訴訟です(これまでの経緯はこちらとこちら)。
ただ、これまでの連邦控訴裁判所の判定はProp 8を違憲とするもので、勝てばカリフォルニア州での同性婚が合法となるものの他州への影響はないものでした。
でも今回この訴訟を最高裁が審理することで、その結果がカリフォルニアだけでなく、アメリカ全州に適応される可能性が出てきました。
そうなった場合、結果は天国か地獄。
アメリカ全国で一挙に同性婚が合法化されるか、それとも…これまで同性婚が認められていた州でも同性婚が認められなくなるか…。
こちらの裁判の方が影響が大きいだけに、かなり慎重な審理が行われることが予想されます。
この裁判が起こされた2009年当時は、5対4で保守派が優勢な最高裁で同性婚が勝利するとは到底思えませんでした。
でも今は…
ひょっとしたら、いけるんじゃね!?
と、(希望的観測を込めて)思っています^^
というのも、11月の選挙では同性婚が住民投票によって初勝利し、しかも投票に掛けられた4州全部で完全勝利するという結果になり、アメリカ国民の同性婚に対する考え方が大きくシフトしたことを見せ付けてくれました。
当然、最高裁の判事達もそのことを知っているはずで、この流れを無視して判決を下せば、今から10年、20年後には確実に自分達がただのバカにしか見えなくなることは承知しているはず。
まあでも、そんなことはものともせずに、何が何でも同性婚を認めないと思われるのが超保守派の判事達ですが…。
スカリア判事、トーマス判事、アリート判事の3人に関しては、期待するだけムダというのが大方の意見です。
その点、レーガン大統領に任命されたケネディ判事は基本的には保守派ながら過去にゲイライツに票を入れたことがあり、この方がスウィングボートになる可能性が高いと言われています。
逆に、オバマ大統領に任命されたソニア・ソトマイヨール判事とエレナ・ケイガン判事、そしてクリントン大統領に任命されたギンズバーグ判事とブライヤー判事は、まず間違いなくProp 8に違憲判決を下すと思われます。
そして問題はロバーツ長官…。
今年、最高裁がオバマケアに合憲の判決を下しましたが、その時に決め手となったのがロバーツ長官の一票でした。
最高裁長官のロバーツ判事と言えば、息子ブッシュに任命された超保守派です。
彼とケネディ判事を含む他の保守派ががっちり票を固めて、彼の就任以来、Citizens Unitedや銃規制への違憲判決等、何度も酷い決定を下してきました。
その彼が突然の医療保険制度改革への支持…。
ご本人が何も言わないのでその真意は謎ですが、保守派の判事の一人が非公式にロバーツ長官を「裏切り者」と言ったという報道もあり、かなりの覚悟を持って票を投じられたことが想像されます。
それについてとあるコメンテーターの方が、
「200年以上の歴史を持つ輝かしい連邦最高裁判所において、これまでにたった17人しかいない主席判事の一人であるという自分の立場を、ロバーツ長官もようやく認識したのではないか?」
とおっしゃっていました。
言い換えれば、2005年に任命されてからというもの、保守派の犬のようにクソみたいな判決ばかり下してきた自分を省みて、そのうち自分の名前が歴史に汚点として残ることをようやく悟ったのではないかと…。
ほんとかよ?!
っていう気はしますし、それこそ希望的観測かもしれませんが、彼がオバマケアを合憲としたことは事実。
もしも彼が司法家としての良心を取り戻し、これからは純粋に合衆国憲法の精神に照らしてそれぞれのケースを審理しようとしているのだとすれば…?
Prop 8のように特定のマイノリティだけを差別する法案が違憲であることは間違いありません。
となると、ケネディ判事の出方によっては6対3で同性婚勝利の可能性も?!
以前にも書きましたが、公民権に関する重要な問題についてはこれまでにも最高裁が決定を下してきましたし、その中には白人とその他の人種の結婚を合法化した判決もあります。
異人種間の結婚を認めないなんて今ではほぼ考えられないことですが(100%ないとは言い切れないのがこの国の保守派の怖いところ;)、同性婚についても同じことが言えます。
問題はもはや同性婚が合法化されるかどうかではなく、When?いつ、それが可能になるのかということ。
同性婚を認めることが異性間の結婚の結びつきを弱める、なんて本気で思っている人はもうよほどのバカしかいないはずで、最近のスキャンダル↓が良い例です^^
下半身のユルい将軍2人(既婚者・子持ち)と将軍と見れば股を開きたがるミリオタ女2名(既婚者・子持ち)にFBIのエージェントまで絡んだ、フローチャートなしでは到底理解不可能なぐちゃどろの不倫劇。
異性間の結婚の素晴らしさ、その神聖な結びつきの強さをまざまざと見せ付けてくれましたねww
私も別に結婚が人生のゴールだとか、絶対に皆がすべき素晴らしいものなんて思ってません。
ただ、Aさんに出来ることが、Bさんには出来ない。その不公平・不平等は絶対に正さなくてはいけない!!
明らかな差別の形を一つでも早く撤廃してこの国が少しでも良い形で前に進むために、この国の司法の頂点に立つ方々に何が何でも正しい判決を下して欲しいし、その覚悟が出来たからこその審理受諾だと思いたいです。
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