神の子供達
またしても萌えのカケラもない話です(汗)
たまには普通のニュース。
初渡米した途端に各地のスタジアムを超満員にして、観客を熱狂させた男について。
ローマ法王ベネディクト16世。

いや、もうこの人の余りの人気にゃびっくりでした。NYのヤンキースタジアムでのミサには6万人が詰め掛け、スタジアムの外でも群衆が彼を一目見ようと大騒ぎ。
ロックスターも顔負けの盛り上がりよう。
11億人を超えるカトリック教徒の上に立つ男の、圧倒的な底力を見せ付けられた気がしました;;
こちら↓もNY Timesに載ってた、法王様のワシントン訪問の際の写真。

凄い数のファンです・・・。
この宗教界のスーパースターが、今回の渡米で何度も何度も口にしていたのが、カトリック教会の司祭による性的虐待の被害者への「謝罪」。
ワシントンでのミサの後には、被害者数人と個人的に会見。彼に会見した被害者の内の3人は、CNNのインタビューで、「これが希望への大きな一歩。」とおっしゃってました。
それは良いんですけど…。
「なんだかなー。」
と思ってしまったのは、私だけでしょうか?(汗)
つまりですね。長い裁判の結果、ようやくカトリックの司祭による子供への性的虐待の事実を教会が認めたのは、つい最近のこと。それまでは、必死になって虐待の事実を揉み消そうとしていたわけです。現法王もその隠蔽行為に関わっていた。
そのことに関する謝罪は、やっぱりなし。
それに被害者の方との対談はカメラ禁止で個別に行われて、何だかコソコソした印象が拭えません。
本当に謝罪する気があるなら、ボストン、LAにある教区に出向いて行って、出来るだけ沢山の犠牲者の方々に会って、公に謝罪するべきじゃないんでしょうか?
こういうの言葉は悪いですけど、half-assedって言う気がする。まだまだ本気で謝罪する姿勢が見られない!
こちらは↓そういうカトリック教会への抗議のメッセージを掲げた人達。

(カトリックの司祭は子供を襲うケダモノだ。禁欲主義の失敗!)
そしてこの法王様の訪問と重なってニュースになっていたのが、カルト教団FLDSからの子供達の隔離。
これ、日本でもニュースになっていましたでしょうか?ご存知の方もいらっしゃるとは思いますけど、一応説明を。
FLDS教団っていうのは、ユタやテキサスに教団施設を持つ、『モル○ン教』のオリジナルの教義を受け継いでいるっていうのが売りのカルトで、その「純粋な」教義とは「一夫多妻制」と「子供の虐待」。
今ではすっかり定着した『モル○ン教』をカルトと呼ぶ人はいないんでしょうけど、『モル○ン教』の教祖、ジョ○フ・スミスは「一夫多妻制」をその教義の一部として認めていた人。
「一夫多妻制」を廃止しないと正式に州として認められない、っていう条件を出されたため、その後、ユタ州では『モル○ン教』も「一夫多妻制」を禁止しましたけど、その「伝統」を受け継ぐカルトはずっと健在だったわけですね…。
このカルト教団の行う「一夫多妻制」っていうのは、中年のオヤジがにまだ中学生くらいの子供と次々「結婚」して子供を産ませるっていう、吐き気を催す犯罪行為のこと。
そうやって産まれた子供が女の子なら、その子は教団によって洗脳され、また虐待の犠牲者になり、男の子なら労働力として貸し出され、教団の収入源にされていた。
今回、教団内部からの告発によって、400人以上の子供が教団から引き離され、児童保護局に保護されることになりましたけど、虐待の事実は、これから一人一人の子供について個別に実証しなくちゃいけないみたいで、教団側が付けた何百人という弁護士相手の難しい裁判になりそうです。
ニュース↓で見た母親達は、変てこな衣装を着せられたロボットみたいで、オヤジ達の方はその陰に隠れて姿も見せません。
この女性達、完全に洗脳されちゃってますね。
このカルトから逃げ出した女性の一人がインタビューを受けて、「私は自分が30歳になるまで、自分が虐待されていたっていうことすら気が付かなかった。」って答えてました。
教団施設で幼い母親と一緒に、マインドコントロールされて育った子供達…。
例え、この先カルトから逃げられたとしても、自分自身を取り戻すのは辛く長いプロセスになるはず。
一人でも多くの子供が、一日も早く子供らしい生活を取り戻せるようになることを願うしかありません。
法皇様の訪問と重なったこのニュースに、ビル・マーっていうコメディアンがこう言ってました。
「カルトのリーダーは攻撃されるけど、法王はパレードで歓迎される。家のローンが払えなきゃ破産だけど、何十億のローンが払えなけりゃ国が助けてくれる。カトリック教会は幼児虐待のベアスターンズだ。」
この中で法王様のことをナチって呼んでるんですけど、これに関しては後で、ビル・マーも一応謝ってます。
WWIIのドイツで育ったこの法王様は、ヒトラーユーゲントっていう、ナチの青少年養成機関のメンバーだったんですね。本名がRatzin/gerでNaziと韻を踏むので、Raziっていう仇名があったり。
今回の訪問では、NYのシナゴーク(ユダヤ教会)を訪れて、ホロコーストの生き残りであるラバイと対談。そういったイメージを消そうとする姿勢を見せてました。ナチスを強制的に信奉させられた彼自身も、犠牲者には変わりないということで。
でも、「もし教会が幼稚園で、その従業員が何千人の子供を虐待したら、園長は逮捕されるはずなのに。」っていうコメントについては、ビル・マーは事実だから謝る必要はないって、強気の発言。
だから彼の謝罪もかなりhalf-assed。
この現法王が枢機卿だった頃、自分の署名入りで各地の司教に送ったのが、Crimen Sollicitationisって呼ばれる文書。
これは元々は1962年に教会関係者に回された秘密文書で、司祭による犯罪、特に性犯罪の場合、いかに対処するべきかってことが記されています。
その根本原則は「秘匿」。そういった犯罪に対して、教会内で秘密裏に対処することを確認したもの。
英訳はこちら↓(長い上に回りくどいので、とても訳す気にはなれません;;)
http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/28_09_06_Crimen_english.pdf
Instruction(指示)って書かれた横に、ペタッとConfidential(機密)ってスタンプされてます;;
こういう指示が、人に知られちゃマズイっていう自覚はあったわけですね…。
哲学としてのキリスト教の教えは美しいと思います。だからこそ、それを歪めて人の心を操るカルトの犯罪は効果的で恐ろしい。
敬虔なクリスチャンの両親に育てられた無邪気な男の子が、教会の聖歌隊に入り、何度も何度もそこの司祭によってレイプされる。
「これは精神へのレイプだ。」
って被害者の方がおっしゃってました。そういった被害者の子供の両親の多くは、カトリック系の移民で信心深い人達。彼らが勇気を出して教会に訴え出ると、協会側は「問題のある」司祭を別の教区に移し、その司祭は新しい教区でまた子供を犯し続ける。
カルトと一緒にして欲しくないなら、カトリック教会も犯した罪をもっと真摯に受け止めるべきだと思ったのでした。
(更新後、拍手沢山ありがとうございました。いつも本当に励みにさせて頂いておりますm(_ _)m)
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2008/04/22 20:58 | ニュース・その他 | COMMENT(2) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
悔しい話です!!
法王が訪米されてたとは知りませんでした。
司祭による性的虐待はずいぶん前からマスコミを賑わせていましたよね?子供に対するこういった行為に厳しい欧米では、格別厳しく処断されると思ってましたけど、、、その後のニュースをちっとも耳にしないと思ったら!
宗教云々より、人として悔しいです!!
人を殺したり、おなさい子供を痛めつけたり. . . 何の為の宗教なんでしょう!!ふ~悲しいですね。
No:449 2008/04/26 21:52 | キョロリ #- URL [ 編集 ]
お返事
法王様、ワシントンからNYを一週間くらい飛び回ってたらしいです。
子供に対する虐待に厳しい国と言っても、教会側が事実を隠蔽し続けたために、ボストンで大問題になるまで、殆どの人はこんなに沢山の司祭と子供が関わっていたことを知らなかったんです。
その間に沢山の犠牲者の方が自殺、アルコール、ドラッグの多用で亡くなってる…。
適当に謝って済ませて欲しくないって思いました。
お金を払って済む問題でもないです。
キョロリさんのおっしゃる通り、こんなことがあるなんて本当に悲し過ぎます(_ _)
No:453 2008/04/27 19:58 | 蛍 #- URL [ 編集 ]
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