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今日のオークランド

2009年のニューイヤーズディに無抵抗の黒人青年、オスカー・グラントを背中から撃ち殺した罪で逮捕、殺人容疑で起訴されていたジョハネス・マーサリー元巡査が過失致死罪(involuntary manslaughter)プラス銃の使用(gun enhancement charge)で有罪になりました。
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日本で報道されたかどうか分かりませんが、事件が起こったのがバートと呼ばれる地下鉄のプラットフォームだったために、射殺の瞬間が目撃者達によって携帯カメラで撮影され、そのビデオがYouTubeはもちろんニュースでも繰り返し流されると、バートの駅のあったオークランド市では暴動に発展する大事件になりました。

DA(地方検事)はマーサリー元巡査を第2級謀殺罪で起訴しましたが、弁護側は彼が銃をテーザーガン↓と間違えて撃ったとして過失を主張。
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オークランド市のあるベイエリア(北カリフォルニア)では公平な陪審員を選ぶのが難しいとして、裁判の場所はLAに移され、今日その判決が出たのですが、オークランド市警察は厳戒体制で警備に臨み、イブニングニュースもCMなしで状況をライブ中継していました。

同じイーストベイにあるヘイワード市警、フリーモント市警からオークランドに警官隊が続々と到着、オークランド市街は道路が封鎖され、お店のガラスもボードでカバーされるなど、非常にものものしい雰囲気に。

暴動の発生に備える警官隊。
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こちらは店頭のガラスが割られる被害を防ぐために、ボードを打ちつけるカフェのオーナー。
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サンフランシスコの企業の中にも、判決が出た直後に従業員を帰宅させたところがあったそうです。

驚いたことに、普段は警官がパトロールしているところなんて見かけない私の通勤途中の道路にまで、各コーナー毎に警官が立っていて、パトカーも数台配置され、ヘリまで飛んでいました;

すごく感動したのは、オークランド市を始めとする各コミュニティも今日のために準備を欠かさず、オークランド市内に黒人、白人、人種の異なるボランティアが多数駆けつけて、暴動が起こらないように、色んな方法で群集に過激な言動を抑えるよう説得していたこと。

数百人が集まり始めたメインストリートの一角にはマイクとスタンドが設けられ、意見を述べたい人が誰でもスピーチ出来るようになっていたり、ラジオ番組の中継に参加して全国に向けて言いたいことが言えるようにするなど、判決への不満が暴力という形を取らないような方法が考えられていました。

オークランドの市長、そしてシュワ州知事も、この裁判への不満を暴力に訴えることがないようにと声明を発表しています。

こちらは数名の女性が不満を爆発させそうな男性を説得しているところ。
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コミュニティ用の無料配布の新聞でも、カッとならないように呼びかけています。
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亡くなったグラントさんへの正義を訴える若者達。(画像はSF Gateより)
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グラントさんのお母様の傍には、ネイション・オブ・イスラムと呼ばれる黒人過激派の男性がぴったりくっついていて、

「殺されたのが黒人だったから、白人の警官は殺人の罪に問われなかった。」

と、さらなる人種の対立を招きかねない発言をされていましたが、オークランド市内に集まった様々なボランティアの方々の努力もあって、まだ明るいうちは平和的なデモが行われていました。

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ご家族の方にしたらもちろん不満な判決だとは思いますが、ビデオを見てもマーサリー元巡査が銃を撃った直後のリアクションはショックを受けているように見えるし、そう証言している目撃者が何人も居る以上、“Beyond Reasonable Doubt”「合理的な疑いを超えて」、つまり明白な証拠を元にマーサリー元巡査が殺人の罪を犯した、という判決になりえなかったということなのだと思います。

アメリカではそもそも警官が勤務中の銃の使用によって罪に問われることは殆どないらしく、今回の判決は過失致死罪で数年の禁固刑が確実な上に、銃の使用罪によってさらに刑期が数年長くなるという、異例の判決になるのだそうです。

12人の陪審員の殆どが白人で黒人の陪審員がいなかったために、そういう意味でも人種の対立を招きかねなかった裁判でしたけれど、証拠不十分で無罪になる可能性もあったわけで、グラントさんのお母様も陪審員を責める気はないとおっしゃっていました。

ただ過失致死罪というのは殺人の意思のなかったことを前提にしているのに、“gun enhancement charge”(銃の使用に対する罪)がプラスされたことで、「銃を使って殺す意図“intent”があった。」という二つの矛盾した判決が出たことになり、弁護側が控訴すれば判決がひっくり返る可能性はいくらもあると聞きました。

8月6日には正式に刑期が言い渡されるそうですけれど、小さな子供のいた無抵抗の22歳の青年の命を奪った罪がそれで帳消しになるはずもなく、これは例え過失であっても、決して起こってはいけない事件でした。

ただその事件への怒りが無関係な人々に向けられて良いはずはなく、これ以上、オークランドという街とその住民がこの事件のために苦しまずすむように、平和的なデモンストレーションですむことを祈っていたのですが…。

残念ながら夜が更けるにつれて、報道されるのはボードを打ちつけた店の店頭すら破壊され、略奪行為や警官への暴行が相次いでいると言うもの。

出来るだけのことをして自分達の手で街を守ろう、という市民ボランティアの方々の努力と前向きな姿勢に打たれたのに、結局はまた暴力によって街が更に破壊されるという悲しい結果になりそう…。

昼間インタビューに答えていた牧師さんが、「若者達には教育が必要だ。」とおっしゃっていましたけれど、財政難に苦しむカリフォルニアで真っ先に予算が削られるのが学校や図書館などの公共の施設。

きちんとした教育が受けられなければ将来への絶望感も募り、ギャングに入る若者も後を絶たず、こういったことがあると、単に暴力を振るいたいから暴力を振るう、店に押し入って手当たり次第に物を盗む、といった連中が平和を願う人々を力ずくで押しのけることになってしまう。

本当に残念です。

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タグ : オスカー・グラント ジョハネス・マーサリー オークランド

2010/07/08 23:07 | ニュース・その他COMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

この事件は以前テレビでみたような気がしますが、
引き金をひく発端とかってなんだったのかしら。
話題と関係ないですが急に「評決のとき」とか思い出してしまいました。

No:1801 2010/07/10 14:53 | jumpi #w7E8CPEA URL [ 編集 ]

jumpiさん、こんばんは

日本のテレビでも報道されていたのですね。
逮捕に抵抗する容疑者にテーザー銃を使うのはよくあることみたいなんですけど、この場合はその必要はなかった…少なくとも携帯カメラで撮られたビデオを見る限りそう見えます;
「評決のとき」は見たことないんですけど、最近「12人の怒れる男」を見ましたv
ちょうど “Beyond Reasonable Doubt”が映画のポイントだったので、私も思い出してしまいました^^

No:1803 2010/07/11 20:23 | 蛍 #- URL [ 編集 ]

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