静かなヒーロー達
三千人近い人々の命が失われた9月11日の混沌の中、アメリカ各地から駆けつけた300匹とも500匹とも言われるレスキュー犬達が、そのハンドラーの方々と共に生存者を求めてグラウンドゼロの捜索に携わりました。
そのレスキュー犬のうち、10年後の今日、生存が確認されているのはわずか12匹のみだそうですが、そんな彼らが“Retrieved”という写真集の中で追悼されています。
粉塵やアスベスト、ヒ素や金属片等が舞い上がる中、危険な現場でレスキュー活動を行った1万人を超える警察や消防の皆様、そして彼らを支えた忠実な救助犬達。
亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に、沢山のファーストレスポンダーの方々、そして犬達に改めて感謝の意を込めて、彼らの画像を転載させて頂きました。
(画像は9/11のSAR犬(Search and Rescue Dog)を特集した沢山のサイト様からお借りしました。ラストに纏めてリンクを貼らせて頂きます。)
写真家のシャーロット・デュマさんは、アメリカの9つの州を回って、9/11から10年後の現在、引退生活を送っているレスキュー犬達の姿をカメラに収めました。
彼らのストーリーは“Retrieved”と名づけられた写真集の中で、あの日現場に駆けつけたファーストレスポンダーの方々の活躍と共に語られています。

ラブラドル・レトリバーやゴールデン・レトリバーの他、ジャーマン・シェパード、コリー、ロットワイラー、そして色んな雑種犬達が困難なレスキュー活動に参加しました。
9月13日の朝、カリフォルニアから到着した当時5歳のギネス君(↑中央左と↓)は、ハンドラーのシーラさんと共に11日間、瓦礫の中で救助活動を行いました。

こちら↓はオーナーのデニースさんと一緒に休憩するBretagneちゃん。

FEMAの写真家によって9月21日に撮影された、ケント・オルソンと彼の救助犬サンダーくん。

同じ日の現場で撮られたレスキュー隊員と救助犬のチーム。

"They go underneath into void spaces―anywhere we can get the dogs in. The site is very difficult agility for the dogs. They're crawling on their bellies and squeezing through things. It's incredible to watch."
― Sharon Gattas, Riverside Urban Search and Rescue
「彼らは何とか入れそうな隙間があれば潜り込んでいく。犬にとってさえ非常に難しい場所に、腹ばいになり、瓦礫の中を潜り抜けて…。信じがたい光景です。」
(リバーサイド市の都市部SARチーム、シャロン・ガッタスさんの言葉)
こちら↓は9月24日に撮られたレスキュー隊員達と救助犬の、つかの間の休息の様子。

9月22日、FEMAのベースでブラック・レトリバーのジェイク君にリードを付けるメアリーさん。

こちら↓は9月15日に撮影されたブラック・レトリバーとハンドラーの方。

同じ日に世界貿易センターの瓦礫の中を移動する救助犬。

殆ど生存者が見つからない中での救助活動は、レスキュー隊員にとっても大きなストレスとなりました。そんな中、救助犬の存在が彼らの心を支えます。

(9月18日、オハイオから来たウッディ君と彼のパートナー、テリーさん。)

(疲れてまどろむレスキュー犬とそのハンドラーの方。)
動画↓は、当時を振り返ってインタビューに答えるハンドラーのデボラさんと、トンネルを潜って遊ぶ姿に在りし日の勇姿を偲ばせる救助犬のアビー。
9/11 tribute clip from Explore.org on Vimeo.
デボラさんとアビーは、物々しい厳戒態勢のニュージャージ州の軍基地に着き、そこから世界貿易センターに向かいますが、そこで見た悲惨な光景に呆然とするデボラさんを引っ張って、熱心に仕事に取り掛かったのはアビーでした。
その10日間の救助活動中、デボラさんにとって一番印象に残っているのは、瓦礫の中から発見された仲間の遺体を前に号泣する消防隊員と、彼が落ち着くまでじっとその腕に抱かれていたアビーの姿だと言います。
"If these dogs only knew what a difference they make. Certainly, there's nothing that can replace the precision of a dog's nose―and absolutely nothing that can replace a dog's heart."
― Bob Sessions, rescue worker, Federal Emergency Management Agency
「もしこの犬達が、彼らの存在がどれだけ我々にとって違いをもたらすか知っていたら…。もちろん、彼らの精密な嗅覚に代わるものはないけれど、本当に掛け替えがないのは彼らの心だ。」
(FEMAのレスキュー隊員、ボブ・セッションズの言葉)
10年経った今も、あの日の映像を平静な気持ちで見ることは到底出来ません。
犠牲者のご家族の方々の悲しみは今も深く、毎晩泣くことは無くなったけれど、亡くなった人を思い出さない日は一日もない、という言葉に涙が止まりませんでした。
亡くなった方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
今日の式典でのポール・サイモンの“Sound of Silence”の演奏。
最後に画像や記事を頂いたサイト様を記載させて頂きます。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2033628/Surviving-9-11-rescue-dogs-scoured-Ground-Zero-bodies-commemorated-decade-difficult-mission.html
http://douglasville.patch.com/articles/honoring-the-dogs-of-911
http://www.post-gazette.com/pg/11253/1173535-62-0.stm
http://dogsinthenews.com/issues/0109/articles/010915a.htm
http://www.lifewithdogs.tv/2011/09/the-last-search-and-rescue-dogs-of-911/
2011/09/11 22:40 | 動物・環境 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)